ムッチローの呟くには少し長い呟き

毎日140字ではとても収まりきらないような呟きの数々

僕らが出会った場所(作詞:織田あすか 作曲:小林武史) 歌詞の感想と解説!

僕らはどこで
出会ったのか
ふたりの時間(とき)の中には
いくつもの出会いと
別れがあって
それは 生まれ変わっていく 細胞と
少し似てるよ

 


どうもムッチローでございます。
毎日邦楽を中心に流行りの曲の歌詞を取り上げて勝手に感想を書いているブログなんですが、本日はSalyuさんの最新曲で、映画「いなくなれ、群青」の主題歌となった「僕らの出会った場所」を見ていこうと思います。
「ふたりの時間」というのは、2人が出会った時から今までの時間。何年、何十年という単位のものなんですが、それぞれが別々の人生を歩んでいるわけで、当然それは決して2人だけの時間ではない。
見かけは「ふたりの時間」であっても、本当はそれぞれがいろんな人と関わったり考え方が変わったりしている。
見た目はそこまで変わっているように見えない人でも、実際は体内の細胞が絶えず変化し続けている。その見た目と細胞の関係が似ているということを言っているわけですね。

 


思い出 になる時
言葉を超える時
これから出会う時が
どこか やって来る またここに来る

 


今2人は互いのそばにいて、「ふたりだけの時間」を過ごしている。
それは出会った時からすぐのことかもしれないし、何年、何十年も経ってからの再会なのかもしれません。
今この瞬間が、この時間がいつかの思い出になる時、言葉だけでは表現できないような時間がフラッシュバックして、それがお互いをまた結びつけることになる。
こうして「ふたりの時間」と「ふたりだけの時間」が繰り返され続ける。

 


会いたい気持ちが
溢れてくるけれど
悲しみに滲んだ
予感が射していた

 


あの時会った時はいい感じでも、次に会った時には相手の印象が変わってしまっていたなんてことはないでしょうか。
それは、その間に相手が、そして自分も他の違った誰かと出会い、関係を持つからなんですね。
会っては別れ、また会っては別れ。そのたびに不安になる。
そして今回、その不安がついに的中してしまう。

 


君に向かっている
夕暮れの小径で
暗くなる夜空に
ひとつ光る星のように

 

 

「君に向かっている夕暮れの小径」って表現、めちゃめちゃお洒落じゃありません?
こういう歌詞がここで出てくる曲って名曲になりやすいイメージが勝手にあるわけなんですが、どうでしょう。
暗い夜空の中、夕暮れの小径に照らされた相手の姿を見ている。
ロマンティックですねぇ。

 


自分の弱さに
何が繋がっているの
ビーズみたい
遺伝子みたいに

 


相手に好意を抱いていることに気づいて、それでもその相手の背中と足元から長く伸びた影を見て何も言えずにいる「弱さ」にも気づく。
「繋がっている」や「遺伝子」という言葉からも感じ取れるように、相手に対する自分の思いはずっと昔から変わらない「運命」みたいなものだと捉えているんだと思います。

 


君の影の向こう
そこに何があるの
引き返したとしても
本当の君はいない

 


出会った頃の「君」が1番自分の知っている中では純粋な「本当の君」であって、時間が経つとそれだけ「君」は誰かに影響を受けたり人柄が変わったりする。
本当の、自分自身に隠している姿。それを見たい。
自分だけが、その姿を見たい。
自分にだけ、その姿を見せてほしい。

 


君に向かって行く
暗い海を泳ぐ
波の間に見えてる
一筋に光る燈台

 

 

Salyuさんの他の楽曲も目を通してみたのですが、この方の作品は世界観がとても壮大で、歌詞を眺めるだけでも風に心地よく吹かれているような感覚が味わえます。
「海」を周辺に描かれている楽曲たちは朝にも夜にでも聴きたくなるメロディで、個人的にすごく好みのアーティストだなぁと感じました。

 

 

長い時と宙(そら)を
旅してるけど いまは
君が呼吸してる
吐息に震えてる

 

 

これもまた、またいい歌詞ですねぇ。。
「君が呼吸してる吐息に震えてる」だって。
ロマンティックの結晶。最高。
「宙」を「そら」と読ませるあたりも素敵。
壮大な世界の中で出会った2人の物語がここまで綺麗に表現されている曲は結構少ないのではないでしょうか。
ラブソングのような部類の曲って、どうしても歌詞がマンネリ化しやすいので、どうしてもリズムに頼ってしまうものが多いと。なので私自身ラブソングとかロマンティックな曲とかはリズムで選んでしまうんですが、この曲は歌詞だけ見ても惚れてしまうレベル。
すごいとしか言いようがない。

 


会いたい気持ちが
溢れてくるから
悲しみに沈んだ
予感を越えてゆくよ

 

 

「溢れてくる」とか「沈んだ」を使って表現することで、先ほどまでの「暗い海」の伏線を回収してくるわけです。
自分のことをどう思っているか分からないという不安と、それによって引き起こされる嫌な予感でできた「暗い海」の波をかき分けて、夕暮れが照らす相手のもとへ泳いでいく。
壮大な世界観とロマンティックさをミックスして完璧なバランスで2人の男女を描き切った「僕らの出会った場所」。

久しぶりにこんな素敵なラブソングに出会えて、私は勝手にお腹いっぱいになってます。
皆さんも是非聴いてみてください!
最後まで読んで下さり、本日もありがとうございました!