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馬と鹿(作詞:米津玄師 作曲:米津玄師) 歌詞の解説!

歪んで傷だらけの春
麻酔も打たずに歩いた
体の奥底で響く
生き足りないと強く

 

 

今日は米津玄師さんの新曲「馬と鹿」を取り上げようと思います。
非常に長い曲というか、歌詞が非常にボリューミーなので結構な時間がかかってしまうかもしれませんがそこは了解してもらえたらと思います。

 

 

まだ味わうさ 噛み終えたガムの味
覚めきれないままの心で
ひとつひとつ 無くした果てに
ようやく残ったもの

 

 

米津玄師さんの楽曲はこのブログでも何回か取り上げていますが、とても歌詞が難解で意味を推測するのが大変なんです。だからこそ私の勝手な感想をつらつら書いていこうと割り切っているんですが、まず「まだ味わうさ 噛み終えたガムの味」というフレーズですよ。すごいインパクトですよね。そして続きが気になってくるわけですが、このほとんど味も残っていないガムというのは主人公にとって「全て無くしかけて最後に残ったもの」だったと分かるわけですね。
ガムをクチャクチャ噛みながら、何かに打ち込んでいたんでしょうが、その過程で何回も壁にぶち当たるわけです。そしてそれをまたガムを噛みながらストレスも溜まりながらも解決し、乗り越えていこうとする。しかし結局はそのたびに何かを失っていって、最後は何も手に残っていなかった。そして今、無意識にずっと噛んでいた口の中のガムの存在まで気づくことになってしまった。
人生の絶望の淵に立たされた主人公が想像できますね。

 

 

これが愛じゃなければ 何と呼ぶのか
僕は知らなかった
呼べよ、花の名前を ただひとつだけ
張り裂けるくらいに
鼻先が触れる 呼吸が止まる
痛みは消えないままでいい

 

 

「これが愛じゃなければ なんと呼ぶのか僕は知らなかった」とありますが、ここで主人公には大切な誰かがいて、その人を守ろうとしたり自分のものにしようとしたりしていたんだと考えられます。
ここから歌詞は「ただひとつだけ」続いていきます。ここで主人公が大切な誰かを自分のものにしようとしていたことが想像でき、そして主人公は振られてしまったということなんでしょう。
この歌詞の雰囲気を考えるならば、主人公はその愛する人に「尽くしていた」んだけど、ある時何かがきっかけでそれまでの人生が無駄になってしまった。そんなストーリーが頭に浮かべば私としては上出来なんですがどうですかねぇ。

 

Ohh…

 

 

おぉ…

 

 

疲れたその目で何を言う
傷跡隠して歩いた
そのくせ影をばら撒いた
気づいて欲しかった

 

 

主人公は愛する人か大切な人のためにズタボロだったわけです。大恋愛をしていたわけです。
「これだけ大切に思って、尽くしているのにどうして、僕の気持ちを分かってくれないんだ」。そんな主人公の心の声が伺えます。
それでも、大切な人といる時は自分の見窄らしさを見せたくなくて、必死に心の傷を隠し続けていた。けれど、ある時主人公はその傷をその人に見せてしまった。そしてその相手はそれをきっかけに主人公と距離を置くようになり、主人公のことを思って良心で主人公の傷を受け止めることなく、その人は去っていってしまった。
どうでしょう。
いい感じの解釈ができてるんじゃあないかと思いたい。そう信じた。

 

 

まだ歩けるか 噛み締めた砂の味
夜露で濡れた芝生の上
逸(はや)る胸に 尋ねる言葉
終わるにはまだ早いだろう

 

 

「噛み締めた砂の味」というのがあるんですが、私はここで自論を述べたい。述べたいわ。
この「砂の味」ってさ、ガムの味なんじゃないかっていう。
苦しい思いをした時の記憶が、あの時もあった口の中のガムに残っていて、噛み締めるたびにその時の記憶がフラッシュバックする、みたいな。
「逸る胸に 尋ねる言葉」とあるように、主人公はこれからの人生について自問自答を繰り返して悩みまくっています。そして、「終わるにはまだ早いだろう」という結論がついに主人公の中で見つかるわけです。
まだ希望があると信じて、主人公の諦めきれない心情を表現しているわけですねぇ。
そうだと思いますけどね、私は。

 

 

誰も悲しまぬよに 微笑むことが
上手くできなかった
ひとつ、ただひとつでいい 守れるだけで
それでよかったのに
あまりにくだらない 願いが消えない
誰にも奪えない魂

 

 

この曲のタイトルは「馬と鹿」です。ようは主人公は馬鹿なんです。
だから必死に正しいと思う道を進もうとしても、結局はいつも失敗に終わってしまう。つらい思いばかりする。
それでも、馬鹿なんです。馬鹿だから諦めることを知らないんです。何回も何回も、まだチャンスがあるって言い聞かせて、前に進もうとする。
そんな主人公の生き様が、この曲の最も提示したいポイントなのではないかとこのパラグラフで気づかされました。

 

 

何に例えよう 君と僕を
踵に残る似た傷を
晴れ間を結えば まだ続く
行こう、花も咲かない内に

 

 

さて、この最後の最後に、主人公が大切に思っていた人の正体が明かされるわけです。
もう一回最初から通して聴きたくなるやつや~んって感じですが、この大切な人もまた「馬鹿」なんですね。
お互い馬鹿同士意気投合して、馬鹿みたいに大きな夢を掲げて一緒に切磋琢磨していた。お互いがお互いを大切だと思っていたわけですね。
それでも、相手は何かしら大きな不祥事を起こしてしまい、主人公自身もまた傷を見せてしまった。
それでも、お互いが唯一の理解者であることによって、二人はいつまでも走り続けることになる。
「晴れ間を結えば まだ続く」とは、何回も別れそうになってもまた肩を組んで最後まで同じ夢を目指して走り続ける二人を綺麗に表現しているフレーズだなぁとこの解釈では感じられますね。

 

 

あまりにくだらない 願いが消えない
止まない

 

 

馬鹿が馬鹿と意気投合して馬鹿でかい夢に向かって死に物狂いで走っている。
あまりにくだらない。
それでも、足を止めることはできない。ずっと、主人公たちはそれぞれの夢に向かって走り続ける。
すべては、馬鹿な二人だから。

 

Source: https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/kenshi-yonezu/uma-to-shika/