ムッチローの呟くには少し長い呟き

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プロローグ(Uru 作詞:Uru)  歌詞の解説!

目にかかる髪の毛と
かきわけた指
壊れそうでどこか
寂し気な背中
 
一時期話題になった「中学生日記」の主題歌となったこの曲ですが、一つ言いたいことがある。
みんな歌声に引っ張られ過ぎだって!!!
確かに、確かにUruさんの唯一無二の「うるっ」としているような、悲しげな歌声にはかなり魅かれるところがあって、それがこの曲のヒットにつながったことも容易に推測ができます。しかし、みんな歌声に気をとられてばかりで、歌詞に目が言っていないのではないだろうか。
甘いって。
まだまだだな、君たちには。
もっとこの曲の良さを知ってもらいたい。
そう思いながら、今日も歌詞を解説していきます!
 
頼りない太陽を
滲ませながら
微笑んだ その横顔
見つめていた
 
出だしの歌詞から「決して明るい曲ではない」と感じ取れるわけだけど、それでもこの主人公は「頼りない太陽」を見つめながら、誰かを想っている「誰か」のことを見ていると。
と、いうことは?
そうです、いわゆる片思いってやつですね。
「頼りない太陽」とかっていう表現も、恋のおぼつかなさを表したものなのでしょう。
まぁまぁ、この辺りはまだ、そんなにって感じ。
 
いつの間にかその全て
視界に入ってくるの
心が波打つ痛みに
どうして気付いてしまったの
 
文章の最後に「の」がついてますよね。
これがまたちょっとしたテクニックになっているのかな、と思ったり。
わざと耳に残りやすい音を持ってくることで、主人公の「波打つ痛み」に堪えている様子を感じ取りやすくなっているようにも感じるわけです。
「そのすべて」とはなんでしょう。
きっと「誰か」の顔や表情、仕草などのことを言っているのではないかと思うんです。
今は横顔を見つめているだけで、目が合うこともなければ何か進展があるわけでもないわけです
しかし、その「誰か」はこちらを振り向いて、いづれは目が合い、言葉を交わすことになるでしょうと。
その時、私は「やっぱりこの人のことが好きだ」と自覚することになり、それでもその「誰か」は他の人のことを今日も想っている。
そんな切なさが、「波打つ痛み」の存在を気付かせることにつながる。
常に「波打つ痛み」は心の中にあって、それでも防衛本能によって「誰か」のことを考えることを避けていた主人公は、「誰か」を視界に入れた時、初めてその痛みに気付いたわけですね。
いやぁ、切ない。
 
あなたを探してる
隠した瞳の奥で
誰にも見えぬように
行き場もなくて彷徨いながら
あなたと見る世界は
いつでも綺麗だった
空には一つだけ
淡く光る 小さな星が
残ってる
 
この歌詞(サビ)のすごいところは、すべてが「目」で起きていることである点。
本当は好きで、無意識にも「誰か」のことを目で追ってしまう主人公。
それでも、「誰か」と目が合ってはいけないから、目を反らし、瞳の奥を隠すのよ、と。
でも、どこを向いていいかは分からず、ただ「誰か」のことしか考えられない自分がいて。
「あなたと見る世界はいつでも綺麗だった」っていうのがポイントだよね。
ここで私はやっと気付きます。
「あぁ、別れたんや」ってね!
主人公はもともと「誰か」と付き合っていて、その時は毎日が輝いていたと。けれど、その「誰か」と別れてしまい、行き場もなくして彷徨っている自分は、実はその「誰か」のことをまだ想っていて、次の部分の「空には一つだけ淡く光る小さな星が残ってる」ってとこで「ワンチャン復縁しないかなー」と思っちゃってる主人公の心情が表現されてますよと、まぁそういうことだ。
 
求めては突き放す
読めない心
見つめられるほどに
嘘がつけない
 
「求めては突き放す」
はい、恋愛の定番フレーズ!しかも一度別れているからなおさらこの表現は必要不可欠だよね。
 
力なく点滅する
あの街灯を
見上げてた その横顔は
優しかった
 
「誰か」のことを求めすぎて、それ以外は輝いて見えない。そんな状態なんだと思った。
「頼りない太陽」だの「力なく点滅するあの街灯」だの、どうも面倒な言い方をするなぁと思ったら、きっとそういうことだったのでしょう。
「誰か」と付き合っていたころは、太陽も街灯も、美しく目に映っていただろうに、と。
 
破れそうに膨らんで
真っ赤に熟れた果実は
誰かの摘む手を待っている
ねぇ、それは 私だった
 
なんか急に変な比喩表現使い始めてどうしたどうしたってなったけど、まぁ分からなくもないよね。
ようは「果実」は「熟れる」ことはできるけど、摘んでもらうためには人が運よく目をつけてくれなくてはならない。
私も同じように、自分の内面や外見はいくらでもよくすることができるし、「熟れ」た状態で「誰か」のことを追い求めているのに、それでも自分からは何もできない。「誰か」が自分を見つけてくれたらいいのにな、とそんなふうな感情を表現した比喩なのだろう。
 
あなたが溢れて行く
抑えた胸の数だけ
隠せない「始まり」を
次から次へ手の平に伝えていくよ
 
難しい歌詞がここでやってきました。
最初の二つは分かるかな。
「誰か」のことを想うたび「もう終わったんだ」と自分の気持ちを押さえつけるけれど、抑えれば抑えるだけ気持ちは大きくなる一方で、「誰か」のことを忘れきれない主人公。
そして「隠せない『始まり』を次から次へ手の平に伝えていくよ」ですが、「手の平」は次の歌詞につながっていくことになるのですが、とりあえず「誰か」へ再び「好きだ」と思い始めてしまったことが「視線」に表れ、隠しきれないこと、そして「好き」という気持ちが大きくなるばかりであることを強調していますね。
 
風は冷たいのに
染まった心は赤いままで
あなたに触れたいと思ってしまった
どうして二人出会った
 
この時点で完全に二人は別れたんだなってことが理解できますよね。
ちなみにこの「触れたい」という部分は先ほどの歌詞の「手の平」から来てると思います。つまり「誰か」へ対する自分の今の思いを「誰か」に伝えたいと思ってしまったということです。
そして、ついには「どうして私たちは出会ってしまったんだろう」と「誰か」と付き合っていた頃の思い出までかき消してしまいたい、と思うまで、つらい思いを主人公はしているんですねぇ。
恋愛って大変。
 
痛くて苦しくて
それなら見えないように
どこかへ飛んで行け
そう思うのに
 
最後は綺麗に恋愛の定番フレーズのような形で曲を構成してきます。
そしてこの後ラストのサビがあって、恋愛に苦しむ主人公の気持ちが「波打っている」感じをこの一曲を通して表現しているこの「プロローグ」。
いやー、歌詞もヒットする曲のポイントを抑えていて、さすがって感じがしました。
 
この曲をあんな声で歌われたら、そりゃーしょうがないよね。
うるっときちゃうよね。