ムッチローの呟くには少し長い呟き

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モス(作詞:Ichiro Yamaguchi) 歌詞の感想と解説!

君のこと
(ソウゾウデキズニ)
 
 
今日はドラマ『ルパンの娘』の主題歌でサカナクションさんの新曲「モス」を見ていこうと思います。
 
 
知らなくていいや
(ソウイウフンイキ)
 
 
サカナクションさんの楽曲を取り上げるのはこのブログでは初めてなのですが、なんだかいつもとは違った形式の歌詞構成となってますね。
サカナクションさんは音楽の最先端をいっているというか、その技術だったり曲の構成が高い評価を受けていますよね。
歌詞ももちろんですが、やはりサカナクションサウンドに乗せて歌詞を見ていった方が何倍も望ましいでしょう。
 
 
僕はまだ
(ソウゾウデキズニ)
探してたいんだ
(ソウイウコトバガ)
 
 
この辺りではまだ何がなんだかあまりよく分からないのですが、なんとなく奇妙な雰囲気が感じ取れます。
 
 
抱えても叶えられないこと
比べても負けるとわかってたんだ
 
 
何を「抱えてもかなえられない」の?
何を「比べても負ける」の?
何が何だかさっぱりなんですが。。
 
 
繭割って蛾になる マイノリティ
揺れてる心ずっと 三つ目の眼
 
 
さて、このあたりでようやく歌詞らしい歌詞が登場してきましたが。
マイノリティとは社会的少数者のこと。
どうですかみなさん。
蛾と聞いてどんなイメージを持つでしょうか。あんまり好きな人は少ないでしょう。
その蛾が繭を割る、というのはさきほどのマイノリティを思い出してみてもらうとどんなことを連想できるでしょうか。
おそらく、周りが好かない部分を自分からさらけ出す、という行為を指しているのではないでしょうか。
繭に包まれていた自分は、周りに自分の「好かれない」部分を隠し続けていました。
しかし、ある時その状態に息苦しさを感じた自分は、自らの弱い部分、隠し続けていた部分を繭を割ることでさらけ出します。
周りはどんな反応をするだろう。どんなイメージを自分に抱くのだろう。
これまで通りの人生を、歩んでいけるのだろうか。
自分をさらけ出してから、不安が募り始めて後悔したり「これでよかったのかな」と心が揺れ動いて落ち着かない。
 
 
飛び交う蛾になる マイノリティ
雨に打たれ羽が折りたたまれても
 
 
繭に包まれていれば、羽が濡れることもなかった。
抜け出したからには飛び交い続けなきゃいけない。
でも、これが本当の自分なんだ。
こうやって、生きていかなきゃいけないんだ。
自分自身の運命に失望してから、それを受け入れようとしている様子が描かれているのが分かりますね。
 
 
君の上を
(ソウゾウデキズニ)
ふわふわ浮いた
(ソウイウフンイキ)
 
 
「ふわふわ浮いた」という表現は非常に納得で、この繭を割った蛾が人生を適当に生きている様子を表現しています。
なんとなく、そういう雰囲気だから「君」のもとへ飛んできた。
自分は社会的少数者。
周りに流されてなるように生きている。
日本の今の問題がじわじわと浮き彫りになってくる感じ。
今の国の状態をこの曲を通して問題視し、批判しているんでしょうね。
 
 
抱えても叶えられなくても
比べても一人でうずくまっても
 
 
自分自身が社会的少数者であることを「抱えて」、自分のような人間が受け入れられる、そんな社会が「叶」わなくても。
周りと自分を比べても、周りと外れて一人だけの場所にたどり着いても。
 
 
つまづいても誰かが指差しても
次の場所を行けるとわかってたんだろう
 
 
周りの人が自分をあざ笑ったり批判したり、一人の人間としてみてくれなくても、それでもそういえば自分は繭を割ってこうして外に出た。
どうしてそんなことしたんだろう。
なんとなくまだ、自分を認めてくれる誰かがいることを信じていたかったのかもしれないな。
そんな蛾の心情を、一曲通して繊細に表現したサカナクションさん。
さすがとしか言いようがないです。